尼城は奈佐川の支流、岩井川右岸の口岩井集落北側、標高約30mの尾根突端に所在する。集落との比高は約24mある。城域は東西約50m、南北約110mを測る。昭和62年(1987)、広域清掃センター(ゴミ処理場)の建設に伴い発掘調査され、その後、城は消滅した。城主や城史に関する伝承は不明である。
中略
出土遺物や縄張りからすると、尼城は室町期に築城起源をもち、戦国期に堀切・竪堀で改修されたものと思われる。その後江戸期まで使用され続けている。
城主は不明ながら、城は谷を隔てて約200mほど離れた尾根に本井城(詰城)が所在することを考えれば、村落領主の館城であろう。また、城は岩井谷の入口に位置し、谷を抑える役割を担っていたものと推察される。<豊岡市の城郭集成Ⅰより>